1.11.2 硫化水素計測器
1.はしがき硫化水素は,製紙やパルプ工業,石油精製,石油化学工業等,広い分野で関連があり,有毒でかつ悪臭の強いガスである.悪臭防止法によって大気中濃度の許容限度が定められているほか,他の法律によっても種々規制の対象となっている.計測器の方式としては,試験紙光電光度法,二酸化硫黄に変換したのち赤外線吸収法によって測定する方法,連続電量滴定法,隔膜電極法などによるものがある.
2.測定方式
(1)試験紙光電光度法
酢酸鉛を含浸させたテープ状の試験紙に試料大気を一定の流速で通過させ,硫化水素と反応して生ずる硫化鉛による褐色の濃淡の程度を光電的に測定し,硫化水素濃度を測定するものである.図4にその原理図を示した.
図4 試験紙光電光度法原理図
(2)赤外線吸収法
硫化水素を二酸化硫黄に変換するコンバータと非分散型赤外線二酸化硫黄計測器と組合わせ,さらにサンプルスイッチング方式を採用して極微量の硫化水素を測定する.原理図を図5に示したが,試料ガスを二つに分割し,一方の流路に硫化水素を二酸化硫黄に変換するコンバータを設け,これを通過したガスを赤外線分析計の一つのセルに導入し,他方は直線もう一つのセルに導入する.一定時間後,弁SV1SV2を動作させて,各セルに導入するガスを切換える.この切換えを周期的に行なうことにより,分析計の出力は試料ガス中の硫化水素濃度に応じて変化する.その変化幅をとらえて測定値とすることにより,S/N比を向上させ,干渉成分の影響やゼロドリフトを除去するようになっている.
図5 赤外線吸収法原理図
(3)連続電量滴定法
試料ガスを二酸化硫黄スクラバに通して二酸化硫黄を除去した後,電解セルに導入する.電解セル内には硫酸酸性の臭化カリウム溶液が入っており,かつ微量の臭素を存在させてあるが,硫化水素と反応すると臭素が消費される.この臭素濃度の低下を酸化還元電位の変化として検出し,この信号によって電解電流を流して臭素を発生させ,電解液中の臭素濃度が常に微少の一定濃度レベルに維持されるように,電解電流を制御する.臭素を発生させるための電解電流は硫化水素濃度に比例するので,電解電流を測定することにより,硫化水素濃度を測定する.図6にその原理図を示した.
図6 電量滴定法原理図
(4)隔膜電極法
電極は,図7に示すように,検知電極と比較電極とを内部液と共に,硫化水素を透過する性質を持っている隔膜でカバーした構造となっている.電極が,硫化水素に接すると,ガスが内部に透過し内部液と反応して電位変化が生じる.図8に隔膜電極法の測定構成例を示す.
図7 硫化水素電極の構造
図8 隔膜電極法の測定構成例